花粉や住まいの中にあるほこりが原因となって起こる目のアレルギーのことをいいます。
これらの原因物をアレルゲンと呼びますが、特に住いの中にあるほこりを、専門的には“ハウスダスト”と呼んでいます。
最近では、このハウスダストによるアレルギー患者が急増しています。花粉には季節性がありますが、ハウスダストは1年中室内にあるため、いつ病気になっていもおかしくありません。したがってこのアレルギーを「通年性(つうねんせい)アレルギー」と呼び、花粉症と区別しています。結膜は外からの刺激や異物にさらされやすい組織で、涙などでいつもぬれています。ですから、ハウスダストや花粉がくっつきやすく、アレルギーが起こりやすいのです。
ハウスダストにはいろいろなものがあります。ほこりに混じって生きるダニ、ダニの死骸や糞、人や動物のフケや毛、カビなども含みます。これらが無数のほこりとなって空中に舞い上がり、結膜にくっつくと結膜炎、鼻の粘膜にくっつくと鼻炎、吸い込むと気管支ぜんそくなどと、さまざまなアレルギー症状を引き起こします。
この中で特に問題になるのがヒョウヒダニ属のコナヒョウヒダニやヤケヒョウヒダニです。ヒョウヒダニは、温度が約25℃、湿度が70~80%の環境がもっとも繁殖しやすいといわれています。細菌の住いは気密性の高いアルミサッシ窓が多く、冷暖房設備が整っています。ところがこの通気性の悪い環境がダニにとっては好都合で、特にじゅうたんは絶好の住み家になります。まさに人間自らハウスダストを作り出しているといってもよいでしょう。
アレルギー性結膜炎の症状は、まず目やまぶたがかゆくなります。目をこすったり、かいたりしていると次第に痛みが加わり、目がゴロゴロした感じになります。そのまま放っておくと結膜が充血して、まぶたが腫れてきます。さらに症状が悪化すると、透明な角膜の周囲が赤紫色になって、結膜にゼリー状の目
やにがでてきます。このような症状になるとたいへんです。まず、かゆい段階ですぐに眼科医を訪れてください。
なお、すでに述べたようにアレルギー性疾患は目だけにとどまりません。鼻炎、気管支ぜんそくなどの身体のいろいろな所にいろいろな症状として出ることもありますから、おかしいと思ったらすぐに医師に相談することが肝心です。
アレルギー疾患はつらい病気です。かゆくてたまらない結膜炎やくしゃみ、鼻みず、鼻づまりの鼻炎など、その苦しさとつらさは人には言いえないものがあります。
そこで、症状が悪化しないようにするためには薬剤による治療が必要になります。
アレルギー性結膜炎の治療には、抗アレルギー点眼薬がよく使われます。抗アレルギー点眼薬にはヒスタミンH1拮抗(きっこう)点眼薬とメディエーター遊離抑制(ゆうりよくせい)点眼薬の2種類があります。ヒスタミンの作用を直接ブロックするので、主にかゆみの強いときに処方されます。
メディエーター遊離点眼薬はヒスタミンなどを増やさないようにする作用がありますが、効果が現れるまで2週間くらいかかるため、症状が現れる前から使い始めることがあります。
抗アレルギー点眼薬は比較的副作用の少ない薬です。使用中は勝手に中断することなく医師の指示にしたがって行うことが大切です。また、重症になると副腎皮質ホンモン(ステロイド)点眼薬が用いられます。この薬は作用が強くよく効きますが、副作用もありますので、医師の指示にしたがってください。
1.まめに掃除をしてハウスダストを減らすこと
● 床をていねいに(1㎡につき20秒以上の時間をかけて)電気掃除機をかける。
● 家具や棚の上はぬれぞうきんで拭く。
● 冷暖房機、空気清浄機のフィルターを水洗いする。
● 年に2回はたたみを干す。
2.通しを良くしてダニ・カビを増やさないこと
ダニは温度が25℃、湿度が75%前後で繁殖します。現代の日本の住居は、断熱・気密性が高くなり、室内が高温多湿化しやすく、ダニにとっては好環境となっています。
したがって、できるだけ窓を開放して風通しを良くし、ときには換気扇を使って室内の湿度を下げるようにしましょう。
特に食事の準備やお湯を沸かすときなどは水蒸気が発生して湿度が上がりやすくなります
ので、必ず換気が必要です。
開放型の石油・ガスストーブの使用中も湿度が上がりますので気をつけましょう。
また、温度調整や除湿のためにエアコンを使う際は、フィルターのほこりにダニやカビが繁殖している可能性がありますので、きちんと掃除してから使用しましょう。
エアコンをしばらく使用していないと、コイル内でカビが増殖していることがあります。
使用開始時にはフィルターの掃除とともに作動開始から数十分は換気しましょう。
3.寝具の手入れを怠らないこと
ふとんは素材によってダニの増えやすさが異なります(下記参照)。新しいふとんを購入する際は、ダニの増えにくいものを選ぶようにしましょう。また、高密度繊維(※) の布団カバーなどを使うのも良いでしょう。
密度繊維<羊毛<ポリエステル≦羽毛≦綿
※高密度繊維:ダニが通り抜けられないほど細かく編んでいる繊維
4.ダニの温床となるぬいぐるみは置かないこと。
ペットの毛やフケなどは、それだけでもアレルゲンになりやすく、またダニを増やす原因にもなります。しかし、一方では、米国立アレルギー感染症研究所が、生後1歳までに室内で2匹以上のペットを飼っていた乳児は飼っていなかった乳児に比べて6、7歳に成長したときのアレルギー発生率が有意に低かったという報告をしています(2002年)。
ペットのよって運ばれた細菌が死ぬときに放出するエンドトキシンという毒素がアレルギーに関する免疫細胞の増殖を抑えたためということです。ペット1匹ではその効果がなかったとしています。このことは、乳児期の行き過ぎた清潔思考もまた、アレルギーの一因となる可能性を示唆(しさ)しています。
1. まめに掃除をしよう。
2. 部屋の通風を心がけよう。
3. 晴れた日はふとんを干しましょう。
4. 早寝早起きをして生活のリズムを整えましょう。
5. 食事ではバランス良く栄養をとりましょう。
6. コーヒー、タバコ、香辛料などの刺激物は控えましょう。
7. ファーストフード、加工食品をとりすぎないようにしましょう。
8. 適度に運動しましょう
9. ストレスをためないようにしましょう。
10. 医師の指示に従って適切な薬物療法を行いましょう。