角膜は、いわゆる“くろめ”にあたる部分で、主としてコラーゲンから成る厚さ約0.5mmの透明な組織です。カメラで言えばレンズに相当する部分で、外から入ってくる光を屈折させて網膜に像が結ばれるのを助けています。角膜は大きく3つの構造、外側から順に上皮、実質、内皮から出来ています。
角膜の表面にある上皮は涙におおわれて、細胞分裂を綴り返しながら速い周期で入れかわっており、外界の刺激や病原体の侵入に対する一種のバリアを形成しています。実質組織は角膜の骨組みで、主としてコラーゲンとムコ多糖類より出来ています。角膜の裏側にある内皮は一層の細胞シートで、ポンプ技能により角膜内の水分をいつも適量に調節しており、角膜を透明に保っています。
角膜感染症が起こると様々な症状が出ます。目の痛み、目のゴロゴロ感、白目が赤くなる、戻がポロポロ出る、まぶたのピクつきや腫れなどが生じます。角膜が白くにごって視力が低下することも少なからずあります。
角膜感染症とは、細菌やカビ(真菌)、ウイルスなどの病原体が角膜に感染し、炎症を起こしている状態です。前にもふれましたが、角膜の表面(上皮)は比較的丈夫な構造をしており、さらに涙によって守られています。したがって、ばい菌に触れただけで角膜感染症になることは通常はありませんが、何らかの原因で異物が上皮を越えて角膜実質の中に入り込むと角膜感染症が生じます。
ゴミ、砂、植物の枝葉などによる角膜外傷、コンタクトレンズ装用による角膜表面のキズ、ドライアイ(涙の分泌量の減少)、ステロイド剤の長期点眼などが危険な因子です。流行性角結膜炎、いわゆる“はやり目”の時に、油断すると細菌性の角膜炎を起こすことがあります。
ばい菌の種類により、抗菌剤や抗真菌剤、抗ウイルス制などを投与します。軽いものであれば点眼により比較的短期間のうちに治りますが、点滴など全身的な治療が必要となることも少なからずあります。
目のゴロゴロ感や痛みとともにまぶしさを感じる時、急に視力が低下した時など、急速に症状が進行することがありますので、すぐに眼科に行ってみてもらいましょう。
カビ(真菌)によって起こる角膜炎です。植物などによる外傷、ソフトコンタクトレンズの連続装用、ステロイド剤の長期点眼などにより起こることがあります。細菌性のものに比較して、症状が出るまで日数がかかるのが特徴です。
治療には抗真菌剤の投与が必要ですがその種類は限られています。